君色



あの人は本当に素敵な人。

何よりも誰よりもいつも私を優先してくれて、何よりも誰よりも私を愛してくれる。



彼と出会い、付き合うようになったのは私が中学生の時だった。

彼は、その時私が通っていた塾の先生。

通塾し始めて、彼が私のいるクラスの、英語の授業を受け持つようになってから、私の毎日は先生色に色付いた。

教壇から優しく微笑んでくれる先生が大好きになった。

誰にも秘密で付き合うことになった私達。

いけない事だって分かっていたけれど、大人な先生に私は魅了されていた。



行ったことのない遠い地にある綺麗な海へ連れて行ってもらった。

聴いたことのない洋楽やクラシックのCDを借りて、聴くようになった。

食べたことのない美味しいケーキ屋さんにも何度も一緒に行った。

見たことのない素敵な美術館へも連れて行ってもらった。



.

< 12 / 43 >

この作品をシェア

pagetop