君色



あれは

いつしか私達が二人で一緒に帰るようになっていた木曜日の放課後だった。

雅史が急に黙り込んで深刻な顔をするからびっくりして顔を覗き込んだら

のぼせたみたいに真っ赤な顔をして彼はチラッとこっちを一瞥したんだ。

そうして言った。


「今までふざけてたから全然相手にしてもらえなかったけど……本当に好きなんだぁ……本当に、理香のことが、好きなんだ俺」


驚いて声も出なかった。


「今回のは冗談じゃない。付き合ってくれ」


先生の存在が胸で疼く。

まだ先生には私の本当の気持ちを伝えられていない。

けれど

次の瞬間私はうなずいていた。

雅史の目を

まっすぐに見ることが出来なかった。



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