君色
先生はきっと分かっているんだ。
私に好きな人が出来たことも、先生に別れを告げようとしていることも分かっているんだ。
先生は鋭い人だから。
私をたくさん愛してくれているから、私のことは何でも知ってくれている先生。
そんな先生が大好きだった。
さよなら先生
その一言がどうしても言えなくて私は
雅史といる時間も
先生といる時間も
そして一人きりの時間さえも
罪悪感にさいなまれ続けた。
早く言えば良かった。
気持ちはどんどん重くなって、その全部が私にのしかかる。
時が経てば経つほど、私は段々先生に本当のことを言うことを諦めようとしていた。
最近になって、先生との連絡は少なくなっているし、会って話す日も多くて月に数回になっていた。
そんな日常にどこか私の心も油断して
このまま先生とは疎遠になって自然と離れられるんじゃないかな、なんて思うようになってしまっていた。
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