君色



「理香、大丈夫?」

私の曇った表情を心配そうに見つめているのは中学からの大親友。

「うわ、由佳子……ぼーっとしちゃってごめん」

今日はお気に入りのケーキ屋さんでミルフィーユを二つ買って久しぶりに由佳子の家を訪ねていた。

由佳子は大好きなミルフィーユを口いっぱいに頬張り、取って残しておいた苺もそのまま口に放り込んだ。

クリームが彼女の口の周りで芸術作品の様に大胆な姿を見せている。

あとで写真を撮ってやろう。



別々の高校へ入学してから、毎日一緒にいることは出来なくなったけれど、それでも私の中で由佳子は一番の親友だった。

由佳子もそう思ってくれていたらいいのだけれど。

別々の生活を送る様になってから、お互いまるで恋人同士の様に相手の生活を探り、新しく出来た友達に嫉妬したりしていたね。

おばさんになっても、おばあちゃんになっても、由佳子とはたまにこうして会って、2人で大好きなミルフィーユを食べながら仕事の話や恋の話で盛り上がるんだろうな。



そんな未来予想図を描く私に由佳子がまっすぐな質問を寄越した。


「先生と何かあったの?」



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