君色



「理香……?」


先生が、顔色の悪い私を心配して頭を撫でてくれる。

強い風が窓ガラスを揺らした。

色の無い枯れ葉達が地にはらはらと落ちる。


「理香、僕は……理香が好きだよ」


私の頭の上にあった先生の手がするりと下りて私の頬に触れる。

柔らかい指先に、今は何故か落ち着けない。

外では雨が降り始めた。

次第に雨は冷たい空気に触れ、小さな氷の塊になる。


「理香……理香、雪だよ」


私を呼ぶ先生の声は真っ白な雪と一緒に降り積もる。


大好きだった先生の低い声。

その声で名前を呼ばれる度に

あんなにドキドキしていたのに。

あんなに胸が熱くなったのに。


今はどうして私を苦しめるだけなんだろう。

先生、ごめんなさい。



先生………



大好き だったよ



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