君色



窓の外の雪は静かに地に降り積もる。



――先生と付き合うことになったのもこんな寒い日だったね。

あんなに寒くかったのに、先生がこれからずっと側にいるんだって思うだけで暖かくなったよ。



アスファルトが純白に染まっていく。



――先生と始めて手を繋いだあの日のことだってまだはっきり覚えてる。

恥ずかしかったから冗談を言ってごまかしたけどきっと私真っ赤になってたんだろうな。



何にも知らない顔したスズメ達。

本当は全部知っているのにね。



――先生が私を抱きしめてそっと優しく口づけたあの日も。

先生が優し過ぎるから涙が出たんだ。

黙ってしまった私に、嫌じゃなかった?なんて心配そうに聞いた先生。

私は今世界一幸せだろうなって思ったよ。



さっきまで雨雲が覆っていた空。
どうしてだろう

今、空には綺麗な太陽が輝いていた。



静まり返った冬の世界に降り注ぐ一筋の光。

雪が地にたどり着くまでにその形を失って溶けていく。

優しい光が世界を包み込んでいた。



――先生、私本当に幸せだったよ



.
< 38 / 43 >

この作品をシェア

pagetop