君色
私は雨が好き。
空も地も人も街も皆静かになるから落ち着くんだ。
人々の罪をすべて覆いつくしてくれるような灰色の雲
私のことも隠してほしい。
そうして私も私自身を見失うんだ。
こんな自分のこと、もう忘れてしまいたい。
赤色の傘を広げた。
薄暗い空に向かってビビッドカラーが咲く。
後ろから小走りで私に追い付いた雅史が、私の手から傘を取り上げた。
そのまま彼がそっと私の肩を抱き寄せるから
2人は一つの傘の下
雅史がいつもの顔で笑った。
まるでずっと片思いしているみたいに雅史の何気ない仕草や笑顔にドキドキする。
空回ったりドジしたり、いつもそんなんだけど
本当は私の気持ちを全部理解してくれてるんじゃないかって思うくらい
時に彼は私の心を簡単にさらっていくんだ。
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