Kissシリーズ・「眠り王子とのキス」
何年かかってもいい。

彼の口から切り出せるまでは、しっかり彼女の役目を果たそうと決めた。

なのに…。

「まさか三年も待たせられるとはね」

枕元に置かれた汚れた紙袋を指でつついた。

当時、彼が事故にあっても離さなかった紙袋。

有名なアクセサリーメーカーの袋の中には、メッセージカードがあった。

あたしへの誕生日の祝いの言葉。

プレゼントだ。

「でも嬉しいのか悲しいのか、分からないわね」

最後になるプレゼントなんて…。

いや、でも決めたんだ。

彼の為にも、あたし自身の為にも。
< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop