Kissシリーズ・「眠り王子とのキス」
あたしは彼の顔を覗き込んだ。

もうすっかり大人の顔付き。良い男だ。

「早く起きないと、前へ進めないじゃない」

…そう言えば、眠り姫なんて物語があったっけ。

でもこれじゃ眠り王子だ。

「早く起きなさいよ」

そしてあたしを早くフッて。

思いを込めて、あたしは彼にキスをした。

―懐かしい感触。

涙が出そう。

「大好きよ…」

そのまま彼の首元に顔を埋める。

彼の匂いもまた懐かしくて、胸が締め付けられる。
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