ケータイ電話の都市伝説
マカは『自分』に『何』も求めていない。

そう思うと悲しくて、情けなかった。

だから望んだ。

―情けない『自分』からの【解放】を―

なのにマカは認めてくれない。

勉強もスポーツも、成績が上がった。

意見をはっきり言うようになって、周囲の評判も良くなった。

なのにマカは喜んでくれない。

「足りない…のかな?」

まだ【解放】が足りない。だからマカは満足してくれない。

「…なら」

手に持っていたケータイを手慣れた操作で例のサイトを開いた。

パスワードを入力すると、画面が変わった。

真っ黒の画面に浮かぶ、青白い魔法陣。

サイトに登録すると、質問メールが日に一度届いた。

他愛のない質問だった。 

だがある日、自分は選ばれたというメールが届いた。

そのメールにあったパスワードは、【解放】する為の魔法のパスワード。

サイトにアクセスし、パスワードを入力すると見れるこの魔法陣。

この魔法陣を見ていると、自分の中から何かが溢れ出してくる。

すると何にでも自信を持てるようになった。

不思議なことに、見れば見るほど気分が良くなる。

―あたしは選ばれた。【解放】するにふさわしい者として…―
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