ケータイ電話の都市伝説
その時、マカはミナの家の前にいた。

無表情ながらも、その心境は複雑だった。

「杞憂ならいいが…」

クラスメート達から聞いた【解放】後のこと。

ミナはすでに中毒症状が出ていた。

忠告はしていたが、ミナには届いたのか…。

ガシャーンッ!

突如響いた音に、マカは顔を上げた。

ミナの家の窓ガラスが割れた音だ。

マカはミナの家に入った。

そしてミナは…。

―ぐるるるぅっ…―

理性の失った眼をして、リビングで暴れていた。

「チッ、予想通りか」

マカは舌打ちし、素早くリビング内を見回した。

リビングの隅に、ミナの両親がお互いを抱き締め合いながら小さくなっていた。

「ミナのご両親、そこにいろよ」

ミナの両親はいきなり現れたマカの言葉に、首を縦に振って答えた。

「ミナっ!」

マカが呼びかけると、ミナは手に持っていたイスを落とし、こちらを向いた。

「今度は理性から【解放】されることを望んだか…。いや、自分を抑える者達からか? どちらにしろ、そんな強さは偽物だ」

―ぐうっ…―

「言いたいことがあるなら、聞こう。ただし、場所を変えてな!」
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