モノクロ
遥から借りたのは、黒地に紫の花と白のラインが入った大人っぽい雰囲気の物だった。


「コーヒー飲む?」

「うん」


今まで賑やかな所にいたからか、ここがいつもより静かに感じる。


「はい。お疲れ」

「ありがとう」


そういえば、ここに来るのはちょっと久しぶり。

外でも会えるんだから、わざわざここに呼ぶ必要もないと圭吾も思ってるんだと思う。



「儲かってる?」

「わかんないよ、そんなの。でも盛況だよ」

「そうか。新田達、気合入ってたもんな」

「ホント。景品、何がもらえるのかもわかんないのに」


静かな空間に、遠くから賑やかな声や音楽が聞こえる。


「疲れたー。け……先生はこんな所で何してるの?」

思わずいつものように呼びそうになって、慌てて言い直した。


一応学校だしね。


「見回りが一段落した所」

言いなおしたことに気付いた圭吾がクスッと笑う。


「そうなんだ」

「このまま校内デートと行きたい所なんだけどな」

「無茶言わないでよ」


圭吾と同じようにクスッと笑うと、腰に手が回されて、そっと抱き寄せられた。



「ダメ……」
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