モノクロ
亜紀ちゃんに怒られながらも、手早くグロスを直してお店に出た。


お店に出ると、さっきまでいなかった琢磨が接客をしていた。

やっぱり、と言うべきか女性客からのオーダーばかり取らされてる感じ。


「都築が怒りながら探しに行ったぞ?」

「マジ? やば……」


同じタイミングで厨房に戻った時、琢磨が小声で言った。

鉢合わせしなくて良かった……。


「気を付けろよ、色々」

「……ん、わかってる」


琢磨が言ってるのは多分、圭吾のこと。


バレないように気を付けろって意味だと思う。

多分、圭吾と一緒だったと思ってるんだろう。


……その通り、だけどさ。



「真央ー、交代。ご飯食べたら、そのまま遊んできていいよ」

「ありがとー」


午後に入った頃、ようやくお昼休憩に入った。


「真央待った! 一緒に飯食わねぇ?」

「いいよ」


琢磨もお昼休憩らしく、二人で浴衣のまま校内を歩いた。


……なんか視線を感じる。

あ、そっか。

隣りにいるのが琢磨だからか。


屋台をいくつか回って、裏庭のベンチに腰を下ろした。


「買いすぎちゃったかな?」

「真央なら食えんだろ」

「……それ、どういう意味よ?」

小さく睨むと、琢磨はニッと笑った。



「彼氏、元気?」

「…………」
< 125 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop