モノクロ
琢磨とこんな話をするのは、私の誕生日以来。

何て答えたらいいかわからなくて、曖昧な笑顔を浮かべた。


「俺に隠す必要、なくね?」

「そう、かも、だけど……」


何か言いづらいよ。


誤魔化すようにたこ焼きを頬張った。


「……あちっ!」

「大丈夫か?」


琢磨が差し出してくれた冷たいお茶を受け取る。


「ありがと……」

だけど火傷したのか、舌が何かおかしい。


「どうした? 火傷したか?」

顎に指を掛けて、少し上を向かされた。


「黙ってればしっかりしてそうに見えんのにな、お前」


キスするような体勢で、すぐ近くに琢磨の顔がある。


「舌出してみ?」

「だ、大丈夫だってば……」


近くで琢磨の顔を見たら、思わずキスされた時のことが頭をよぎった。


「……なんもしねーよ」

有無を言わせない琢磨の口調に、仕方なく小さく舌を出す。


「……大丈夫、みたいだな」

そこでようやく解放された。


「火傷って地味にしんどいから気を付けろよ」

「う、ん……」


それからは普通に話してたんだけど、何か緊張する。



「じゃ、俺戻るわ」

「頑張ってね」


お昼を済ませ、教室に戻る琢磨を見送ってから圭吾にメールしてみたけど──返事がなかった。

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