モノクロ
「今日、ちょっと遅くなりそうなんだよ」
久しぶりに準備室に呼び出され、開口一番そう言われた。
「え?」
「だから、先帰ってて」
そう言ってキーケースから鍵を一本取り出した。
「飯作って待ってて。ケーキは俺が買ってくから」
「ん、わかった」
あっという間にクリスマス当日。
そして、今日は終業式。
結局プレゼントはマフラーをあげることにした。
最近、圭吾の方が忙しくて一緒にいる時間があまりなかったから、明日は休みだし圭吾の部屋でゆっくり過ごすつもりだ。
外に出掛けるわけじゃないけど、せっかくだしちょっとおしゃれをして行こうと思っていた。
「じゃ、後で」
「うん」
放課後、私は遥に髪を巻いてもらっていた。
「ごめんね、早く帰りたいのに」
「いいよ、ちょっとくらい。それに、今日はかわいくしなきゃだしね」
紗依子はもう帰っていて、教室には遥と二人きり。
淳くんは部室に用事があるとかで、琢磨と二人出て行った。