モノクロ
見えない影
せっかく作った料理も、朝になれば当然冷めていて。
私は少しだけ怒りながらそれを温め直した。
出来たての時に食べた方がおいしいのに……。
「真央が作る料理は何でもおいしいし」
……圭吾はそう言って、温め直した料理を平らげてくれたから、よしとしてあげよう。
買ってきてくれたケーキは、私が飛びついたせいで少し崩れてた。
「これは真央が悪い」
「……ん、ごめん」
素直に謝ると、鼻先にクリームを付けられた。
「もう!」
「でも、かわいかった」
そう言って、鼻先のクリームをペロリと舐めた。
「!」
圭吾のこういう行動にはいつまで経っても慣れなくて、すぐに顔が熱くなる。
「かわいい反応するよな」
「……うっさい」
恥ずかしくなって、その場から逃げ出すようにして、ケーキを取り分けるためにお皿を取りにキッチンに向かった。
途中、玄関が視界に入る。
私が知る限り、昨日から圭吾が玄関に近寄ることはなくて、きっと封筒はあのまま。