モノクロ
……やっぱり、どこかで見たことあるような気がする。

出席簿に視線を落としている久我先生の横顔を見てるけど、気がするだけで、どうしても思い出せない。




「最後、新入生代表」

「名前呼んでくださいよー」


琢磨は笑いながら立ち上がった。

アイツのあだ名、決定だね……。




「じゃ、そういうことで一年間よろしく。質問のある人?」

「はいっ」

私のすぐ後ろで声がした。


えっ、遥!?


「先生は彼女いるんですか?」

「いないけど高校生は範囲外です」

「つ、冷たい……」


遥はそう言って座ったけど、めげてる感じはしない。



「他には? ……特にないようならこれで終わり。次は講堂で全体集会だ」


……思い出せないってことは、やっぱり気のせいなのかも。





「真央」

廊下に出ようとした時、腕を引かれて振り返ると、琢磨が立っていた。


「どうしたの? 新入生代表?」

「……お前なぁ」


琢磨はあからさまにイヤそうな顔をしてため息をついた。


「真央、知り合いなの?」

声に反応して、先に廊下に出ていた遥が振り返る。


「あ……同じ中学だったんだ」

「そうなんだ!」

急に遥の表情が明るくなった。


「私、都築遥、よろしく!」

「よろしくー」


琢磨はにっこり微笑んで、しっかり遥の手を握った。


まったく男ってやつは……。
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