モノクロ
「……で、何?」

「いや、ちょっと……」

「何よ?」


琢磨は遥をチラッと見て、それからさらに私の腕を引っ張ると、耳元に唇を寄せて小声で言った。



「お前、担任と知り合い?」

「……何で?」


「あいつ、ずっとお前を見てる気がするから」


「……まさかぁ」

「知らないんだったらいいけどさ……」


歯切れの悪い言い方をして話を切り上げると、琢磨はクラスの男の子達の所へ行ってしまった。


……何だったんだ?




今ので新入生代表の友達ってことになってて、私の周りには人だかりが出来た。


でも、良くも悪くも琢磨のおかげで早々に友達が出来たから……良しとしてやるか。





「今日はこれで終わりだ。授業は明日から本格的に始まるから覚悟しとけよー」

久我先生の言葉にブーイングが起こる。


「じゃ、部活見学するも良し、さっさと帰るも良し、好きにしろ」


その言葉でそれぞれが教室を出ようとしていた。



「真央、部活とかどうするの?」

カバンを持ったところで、遥から声を掛けられた。


「んー……、まだ何も考えてなーい」


中学の時は吹奏楽部に入ってたけど、高校で続ける気は最初からなかった。

高校生になったことだし、バイトでもしようかな……。




「真央」

「高岡」

琢磨と誰かの声がハモって聞こえた。
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