モノクロ
「まぁ、コーヒーでも飲んで落ち着けば?」

……とてもそれどころじゃない、けど。

カップを置いて、大きく息を吐いた。


何回か深呼吸をして、ようやく落ち着いてきた。



「でも……名前……」

「お互い様だろ?」

「年、だって……」

「それもお互い様」


……そうだけど、さ。


まさかナンパするような男が学校の先生だなんて、誰も思わないじゃん。




「……でも、こうして見ると普通の高校生だな」


そう言うと、スッと手を伸ばして私の髪に触れた。


その瞬間、メガネの奥に見えた漆黒の瞳に、あの時感じた色気、みたいなものを見た気がした。



「学校の先生が、ナンパなんて……」

「誰にでも声掛けるわけじゃねーし。それに、昨日のアレはナンパっつーよりも保護、だな」


保護って……。


でも、確かにそうかも。



「年……いくつ? ホントは?」

「ん? 2……6?」



なぜか疑問形で放たれた答え。
< 32 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop