モノクロ
「部活見学とかしないの?」

「ん。今日はいい。帰ろうぜ」

「そっか。うん」


駅まで一緒に並んで歩いた。


「サッカー続けるの?」


こうやって並んで歩くと、琢磨とはずいぶん身長差を感じる。


いつの間に、こんなに見上げるようになったんだろう。



「っていうか、主席入学ってどういうことよ!?」

「どうって……たまたまだろ?」


涼しい顔して言ってくれる。


「で、続けるの?」

「んー……。うちのサッカー部ってそんなに強くないらしいしなぁ……」


だったら本気で出来る所に行けばよかったのに、なんて思ってしまう。


サッカーやってる時の琢磨は、ちょっとカッコイイと思うから。



でも恋にならないのが不思議。



そんな話をしていたら、あっという間に駅に着いた。


ここからは反対方向だ。


「じゃあな」

「うん。おばさんに今日はありがとうって伝えて」

「……自分で言えよ」




どうでもいいと思った高校の入学式で、予想もしなかった人物に再会した。


まさか、昨日のアイツが学校の先生だなんて。


やっぱり……。



「ヘンな男……」


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