モノクロ
2:交錯する思い

旅行の夜に



ゴールデンウィークが終わってすぐ、私達一年生は親睦会と称して一泊二日の旅行に行くことになっている、らしい。


クラスには明るくておもしろい、リーダー的存在の新田淳(あつし)くんという男の子がいて、彼のおかげですでにクラス全体の雰囲気が良かった。




「男女混在六人組で班作れー」


それだけ言うとケン……久我先生は窓際にイスを置いて座った。


“生徒の自主性”ってやつに任せる方針らしい。


でもそれって“丸投げ”とも言うんじゃ……なんて思ってたりするんだけど。



……どうも“久我先生”って慣れないなぁ。



入学式の日以来、私達が“あの日”の話をすることはなく、普通の担任と生徒の関係を保っていた。



「遥、一緒しようよ」

後ろを振り向くと、

「もちろん」

と言ってピースサインを見せた。


後は、特に仲の良い水野紗依子(さえこ)と……。


「男子はどうする?」

と言ったのは私達の席に来た紗依子。


「結城くんがいい!」

と言ったのは遥だ。


遥はどうも、琢磨が気に入ったらしい。


ケン……先生のこともカッコイイとか言ってなかったっけ?



「真央、一緒に組もうぜ」


噂をすればなんとやら。

琢磨が男子を連れて私達の席まで来た。



クラスの中心人物・新田くんと、彼と同じ中学だったという相馬貴文くん。


新田くん曰く、彼は相当頭がいいらしい。



……そんな彼が主席じゃなかったってことは、琢磨って一体……。
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