モノクロ
「先生ー! 決まりましたー!」

遥が手を挙げて、大きな声で先生を呼んだ。



「ここに全員の名前書いて」

渡されたのは、一覧表にするための用紙。


……この人、まとめることすらしないのか。


そう思ってチラッと見ると、なぜか目が合った。


そして、気のせいかと思うくらい小さく、口角を上げて笑った。


特別な会話はしないものの、こういう笑顔を向けられることがたまにある。


……何よ、その顔。





気が付けば、何だか派手な班が出来上がっていた。


主席入学の琢磨。

クラスのリーダー・新田くん。

秀才と名高い相馬くん。

他のクラスからも見物に来るくらいの美人・遥。

秀才で“女子版相馬くん”な紗依子。


……私、何か逆の意味で目立ってる、かも。





「ねぇねぇ、買い物行こうよ」


放課後、遥に声を掛けられた。


「ごめーん、私、今日は無理なんだ」

携帯を片手に紗依子が言った。


「何? デート?」

「急に講義がなくなったからって……」

「そうなんだ。行ってらっしゃーい」


紗依子には最近付き合い始めた大学生の彼氏がいるらしい。


受験の時に通ってた塾の講師だと言っていた。


付き合い始めなのに、浮かれてる感じがしないのが不思議。


紗依子って落ち着いてて大人っぽいし、相手も年上だからかな。
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