モノクロ
あっという間に時は過ぎ、親睦会の旅行当日。
準備万端で家を出ると、学校最寄りの駅前で琢磨の姿を見つけた。
「琢磨!」
「おーっす」
琢磨は振り返ると、そのまま私の荷物を持った。
「え? いいよー」
「どうせ行き先は一緒だろ。悪いと思うならジュース買って」
「……ヤだ」
「何だと、オラ!」
「あっ、ずるーい!」
後ろから声がして振り返ると遥がいた。
「おはよー」
「おはよう」
……遥の荷物を琢磨が持つこともなく、教室に着いた。
「琢磨くんてさ、真央には優しいよね」
事前準備なんかで一緒に行動することが多く、いつの間にか私達女子は男子のことも下の名前で呼ぶようになっていた。
「そうか?」
「そうだよー」
「ほっとけないんだよなぁ、なんかさ」
「「え?」」
遥と私の声がハモる。
……それ、どういう意味?
「何か、犬みたいな感じ?」
「ちょっと!」
「あははっ。ペットみたいな?」
「そうそう」
「ちょっと二人共!」
「ほら席着けー。出席取るぞー」
二人にからかわれていたら、久我先生が入って来た。