モノクロ
「部屋に荷物置いたら中庭集合だからな」


バスを降りる私達に、先に降りた先生が声を掛ける。


通りすがりに何となく目をやると、唇の端を上げ、意地悪そうに笑っていた。


何で見ちゃうんだろう、私……。



ホテルの部屋は班ごとの男女別。


「あー、疲れたー」

カバンを投げ出して、そのままベッドにダイブする遥。


「あ、良かった。電波通じる」

携帯を見ながら安心したような紗依子。


「でも良かったじゃん。琢磨の隣」

私は窓際にあったイスに座って、寝転がっている遥に向かって言った。


「あ、やっぱり遥ってそうなんだ?」

軽く荷物の整理を始めながら紗依子が振り返る。



「この旅行で告っちゃおうと思うんだけど……真央、どう思う?」

「えっ!? そんなこと私に聞かれても……。っていうか、早くない?」


まだ出会って一カ月ちょっとでしょ?


「そう思うんだけどさ。琢磨くんって人気あるじゃん?」

「……まぁ……」



琢磨は淳くんに誘われたからと言って、今までやってたサッカーではなく、バスケ部に入部した。


運動神経はいい方だから、バスケもなんなくこなしてるみたい。


元々、新入生代表ってことで十分目立ってたのに、それに加えてあの容姿。


カッコイイ部類だしね、一応。


入学一カ月にして人気は相当な物になっていた。
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