モノクロ
「同じ事考えてる子、他にいるかもしれないじゃん?」

「ん、まあ……ね」


遥の言うことももっともだった。


「その話はまた夜にでもしてさ。……とりあえず行かない?」

私達の話を黙って聞いていた紗依子が、窓の外を見ながら言った。


同じように窓を見ると、外には中庭が見えて……。


「「ヤバッ!!」」




自由行動を川で過ごし、夕食もお風呂も終わって部屋でのんびりしていた時。



「私、ちょっと電話してくるね」

紗依子はそう言うと、携帯を持って部屋を出た。


「彼氏……」

「……だね」


残された私達は、思わずニヤリとしてしまう。


「ラブラブでいいなー!」

「……行って来れば? 琢磨んとこ」

「でも……」


ベッドの上に座っていた遥は、枕を抱きかかえた。


「告白はとりあえず置いといて……さ。しゃべってくれば?」

「……じゃあ、ちょっとだけ、行って来る」


遥はそう言うと、少しだけ顔を赤くして部屋を出て行った。


遥と琢磨、うまくいくといいんだけどな……。




一人になった部屋でため息をつき、窓際のイスに座って中庭を眺めた。


この建物に沿ってベンチがいくつか並んでて、カップルなのか人影がちらほら見える。


みんなラブラブだね。




「……何か買って来ようかな」


一人の部屋は何だか寂しくて、お財布だけを持って部屋を出た。
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