モノクロ
彼の腕の中
──遠くの方で、何か鳴ってる……。
「ん……」
眩しい日の光がカーテンの隙間から部屋に差し込んでいた。
携帯、どこ……。
まだ半分目を閉じた状態のまま、音のする方に手を伸ばして携帯を探す。
振動しているそれが手に触れて、確認もせずに通話ボタンに指を掛けた。
「もし、もし……」
『真央? お前、もしかしてまだ寝てんの?』
「……たく、ま? 何、こんな朝早……くっ!?」
寝ぼけてた頭が電話の相手が琢磨だと認識して──飛び起きた。
「今何時!?」
『1時過ぎてる』
ため息交じりに答える琢磨。
「ごめんっ! すぐ行くから!」
『駅着く前に連絡しろよ。迎えに行くから』
「ん? 一人で行けるよ?」
『駅前に用あるからいーんだよ。じゃあな』
そう言うと琢磨は一方的に電話を切った。
「……うわぁ……しまったぁ」
昨日の帰り際、一時に行くって約束してたのに……。
もちろん一緒にお風呂に入ることはなく、昨日はあれからすぐに家に帰った。
家まで送る、という先生を一生懸命なだめて、駅までにしてもらった。