モノクロ

初めては痛いって良く聞くけど、私の場合は全然だった。


逆に……。


思い出したら恥ずかしくなってきた。


顔を隠すように再び胸に頬を寄せると、心臓の音が心地よく感じて、このまままた眠ってしまいそう……。




「まだ眠い?」


胸に顔を埋めたまま動かない私を見てそう思ったんだろう。

頭を撫でられながら、そんな優しい声が聞こえる。



「ううん」

眠くないけど……このままいたい気もする。



「……デートしようか?」

そう言われて顔を上げた時、首元で何かが動いた。


「?」


手を当ててみると、いつの間にかペンダントがつけられていた。



「これ……」


チェーンに指を掛けて見せるようにすると、

「今頃?」

なんて笑われた。



寝てる間につけられたのかな?

全然気が付かなかった。



「誕生日プレゼント」

「え?」


トップにはリングがふたつ合わさった形のチャームがついている。


「でも、ピアス……」

もらったばっかりだよ?


「それは……何だろな? 出会った記念、とか? ……いいんだよ、何でも」

そう言って困ったような、照れたような顔で笑った。


「デート、する?しない?」



「……するっ」

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