モノクロ
車に乗って着いた先は水族館。
車に乗るのはあれ以来だから、ちょっと怖かったんだけど。
最初に会った時にしていたあの指輪を、お守り代わりだと言って握らせてくれたおかげか、不思議と大丈夫だった。
すごく大切にしてる指輪だって聞いたからかな。
「……すごーい」
入った瞬間、チューブ型の水槽が視界に飛び込んできた。
この水族館、ずっと行きたいって思ってたけど、ちょっと遠いから無理だと思ってた場所だった。
「行こう」
手を繋いでチューブの中に入る。
……手、繋いでもいいのかな?
「どうした?」
繋がれた手をじっと見てた私を、不思議そうな顔で見た。
「手、いいのかな、って思って」
「いいんだよ。行くぞ」
力強く言ってくれたから、私も笑顔を見せた。
チューブの天井に泳いでいるペンギンがいた。
ホント、空を飛んでるみたい。
他にも熱帯魚とか大型の魚とか。
手を入れて実際に触れられるコーナーなんかもあって。
「楽しい?」
休憩のために入ったカフェで向かい合っている時。
煙草を取り出しながら先生が言った。
「うん」
「生きてるって感じ、する?」