モノクロ
「……うん」
あの時は、ホントに生きてるのか死んでるのかわかんなかったし、死んでもいいと思ってた。
でも、あの時、あそこに立ってて良かった。
先生と生徒として出会ったらきっと……始まってなかったと思うから。
「ねぇ?」
「ん?」
ずっと聞きたいと思ってたことがあった。
「入学式の日、すぐに私だってわかった?」
「ん? あぁ……。まぁな」
「どうして?」
髪の色だって違ったし、メイクだって濃かったのに、どうして気付いたんだろうって、ずっと不思議に思ってた。
「目、かな」
「目?」
「前日に見た“マイ”と同じ目してた」
それって……どんな目だろう。
「高校の入学式なんて、みんなキラキラした目してんのに、お前は何かつまんなそうな目してた」
「……そっか」
確かにあの頃、高校なんてどうでもいいって思ってたもんね。
「あとさ。どうして……その……ホテルまで行ったのに……」
「ヤらなかったかって?」
「……」
黙ったまま頷いた。
……他の言い方ってないのかな。
頬に熱を感じる。
でも、ホテルまで行ったら、普通は……そうなるでしょ?
ナンパした相手だし?