「勇気?」


「…。」


勇気は黙って見つめていた

「今キスした?」


「うん…」


「どうして?」


「俺、美咲の事好きだから…」


「勇気…」


「本当はね…
俺はこんな事言う資格ないんだけど…」


「どうして?」


「どうしても
でも好きって感情って押さえられないんだな…
初めてわかった…」



「私も勇気の事」


言いかけた時


「言わないで
言っちゃ駄目
お願いだから言わないで」


「どうしてょ?」


「俺の気持ちに答えたらもう一緒にいれなくなるから」


そう言って勇気は坂を走って降りて行った


「勇気
待ってよ…」


すぐに勇気は見えなくなった


「なんでよ…
ようやく心から話せる相手が見つかったのに…
ようやく信じれる人が見つかったのに…

ようやく声に出せるようになったのに…

せっかく感情を沈めなくなったのに…

勇気…
なんでだょ
勇気」



私は泣き崩れた


勇気があまりにも私の心の中を満たしていてくれた事にようやく気づいた…


ねぇ?勇気…

私は今まで思った事がなかった

愛なんて聞くと吐きそうになっていた

愛なんて…


勇気…


愛してる…
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