ブサイクな殺人
「逆だろ。余裕があるからこそモテるんだ」


 坂を登りおえたところで、オレが膝に手をついていると、転校生が真顔で言った。

たしかに一理はあるわね。でも。


「アラ、自分でモテるって言っちゃうのね」


「事実だからな。岡田はモテないのか?」


「ウルサイわねェ。オレだってアンタみたいな顔に生まれてればモテたわよ」


 生まれ持った顔でこんなにも扱いが違うなんて、ひどいわよね。

なにが平等よ。男女平等の前に、イケブサ平等(イケメンとブサイクが平等な社会)を目指すべきだわ。


「顔なんか関係ないとは言わないが、モテるための絶対条件ではないだろ。実際、ブサイクでもやたらモテる奴だっているしな」


「そんなのは例外よ。オレみたいのがモテるわけないじゃない」


「岡田はなにかモテるための努力をしてないのか?」


「努力ってなによ。努力したって、突然イケメンになったりはしないのよ」


「言ったろ? 顔は絶対条件じゃない。才能のひとつだと俺は思ってる。俺は生まれもった顔を磨く努力をしてるからモテるんだ」
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