マイLOVEヒーロー

自転車を漕ぎ続けて

ようやく約束の場所に着いた


さすがに息は切れていたけど


自転車から降りて
キラキラと光りを放つツリーまで急いだ

ぐるっと周りを見渡すと

一人でベンチに座り顔を隠している花穂ちゃんが目に入った


花穂ちゃん…

ゆっくりと近付くと
泣いているのがわかる

細くて柔らかい手に触れると

驚いて顔を上げた


「桜汰君!!」


「なんで泣いてるの?どうした?」


優しく声を掛けたら


彼女は俺にすがるように抱き着いてきた


「花穂ちゃん??」


「電車が…事故って…だから桜汰君が死んじゃうって…」


俺が死ぬ??


「その電車には乗れなかったんだ。でも途中で俺の乗ってる電車も止まったから降りてチャリ移動してきたんだよ…」


普通の人ならそこまで心配しない

だけど彼女は一度大切な人を事故で亡くしてるんだ

不安にならないほうがおかしいよな


「ごめん、携帯充電切れちゃって…ごめんな…」


「ううん…無事で良かったぁ」


そぉ言って涙でグシャグシャの顔が笑顔に変わった



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