マイLOVEヒーロー
「どうしたの?」
『ここ2.3日撮影忙しくて…でも今暇になったから電話してみた!!』
何とも明るい声が電話越しに響く
『それでさ、今日これからそっちに戻ってアフレコなんだけど
明後日が撮影夕方終りだから飯行かない??』
「ご飯、、」
『もちろん銀星も!』
嬉しそうに話す桜汰君
だけどさっき決めたんだもん
寄り道はしないって
「私…シングルマザーで…だから夕方も忙しいから…」
『花穂ちゃん??』
この人はからかってるだけなんだ
分かってるのに歯切れが悪い
「桜汰君…ごめん…もぉ電話しないで…」
『えっ??』
−プッ…プープー…
それだけ言って電話を切った
きっと普通の人なら喜ぶこと
でも私は
これ以上彼に関わりたくない
芸能人とは一回逢えればそれでいい
もう一度逢ってしまったら
奇跡じゃなくなるもん
私は今までみたいに銀星と二人静かに暮らしたいの
複雑な気持ちのまま携帯を鞄に閉まって
仕事に戻った