マイLOVEヒーロー
ドアの前に立っている男の人は
黒いスーツを小綺麗に着こなしてる
歳は50代くらいで
『愛俚沙、桜汰、何があったんだ?』
耳を微かにくすぐるような低くて優しい声
顔を見ると
シワが刻まれているけど目が大きくとても綺麗な顔立ちをしてる
その瞳や声は
「父さん……………」
桜汰君によく似ていた
「お、、父さん、、、、」
桜汰君の言葉に反応するように声が漏れる
「君は??」
桜汰君の後ろで横たわる私に気づいて声を掛けてきた
「あの、、、、、」
何から話せばいいの………
頭がグルグルと廻りだして何を話せばいいか分からないよ
急に現れた桜汰君の父親に口の中は乾き、緊張が波のように押し寄せてくる
ドク、ドクと波打つ心臓の横で
「俺の、、大切な人だよ。」
私より先に声を出したのは桜汰君だった
「大切、、、?」
桜汰君の言葉にお父さんは首を傾げる
「あぁ……俺は彼女と結婚、、」
「待って!?違うの!!」
愛俚沙さんが慌てて
二人の間に入るかのように声を張り上げた