マイLOVEヒーロー
「愛俚沙……僕にはこの状況が理解出来ないんだが?」
桜汰君のお父さんはチラッと視線だけ愛俚沙さんに向ける
「違うのよ、、、桜汰はまだ若いじゃない………だからっ、」
何かを隠すように言い訳を必死に考えては口にするけど
「ここは産婦人科で、しかも桜汰の大切な人なら彼女は妊娠してるんじゃないのか?」
状況を説明すればするほど
彼女が隠しておきたい事が露呈していった
「それはッ、、、、」
「父さん、彼女お腹の中には俺の子供がいるんだ。」
「桜汰!!!」
二人のやり取りを見ていた桜汰君がポツリと言葉を落とした
「父さん、俺………聞いてほしい事があるんだ。」
桜汰君………
彼がこれから話そうとしている事が分かる
だって、真っ直ぐ前を向いている身体が
小刻みに震えていたから
「大和さん、あのねッ、、」
「黙りなさい、愛俚沙。」
「つッ……………」
何とか取り入ろうとする愛俚沙さんを声だけで制するその姿は、威厳が体中からオーラになって放たれているみたいで
誰も言葉を発しない
「桜汰、言いなさい。」
静まり帰る手術室で、ゆっくりと桜汰君を見据えた
「俺は………」
「うん?」
−愛俚沙をずっと抱いてたんだ−
拳をギュッと強く握り、下を向いて
搾り出すように言葉にした