マイLOVEヒーロー

「愛俚沙……僕にはこの状況が理解出来ないんだが?」


桜汰君のお父さんはチラッと視線だけ愛俚沙さんに向ける



「違うのよ、、、桜汰はまだ若いじゃない………だからっ、」



何かを隠すように言い訳を必死に考えては口にするけど


「ここは産婦人科で、しかも桜汰の大切な人なら彼女は妊娠してるんじゃないのか?」


状況を説明すればするほど
彼女が隠しておきたい事が露呈していった



「それはッ、、、、」



「父さん、彼女お腹の中には俺の子供がいるんだ。」


「桜汰!!!」



二人のやり取りを見ていた桜汰君がポツリと言葉を落とした



「父さん、俺………聞いてほしい事があるんだ。」


桜汰君………



彼がこれから話そうとしている事が分かる

だって、真っ直ぐ前を向いている身体が


小刻みに震えていたから



「大和さん、あのねッ、、」


「黙りなさい、愛俚沙。」


「つッ……………」



何とか取り入ろうとする愛俚沙さんを声だけで制するその姿は、威厳が体中からオーラになって放たれているみたいで

誰も言葉を発しない


「桜汰、言いなさい。」


静まり帰る手術室で、ゆっくりと桜汰君を見据えた



「俺は………」


「うん?」



−愛俚沙をずっと抱いてたんだ−



拳をギュッと強く握り、下を向いて


搾り出すように言葉にした





< 267 / 303 >

この作品をシェア

pagetop