マイLOVEヒーロー
会場に到着し、リムジンから降りると
たくさんのフラッシュが私たちを照らした
その眩しさに思わず目を閉じる
俳優兼事務所社長、木村桜汰の妻
桜汰君は事務所を継いでからもずっと俳優を続けていた
今や惜しも押される若手実力派と言われてる
そんな人の妻なのに、私は一切メディアに出ることはしなかった
桜汰君が嫌がるから?
ううん‥‥私自身が嫌だったから。だって、私は桜汰君のお嫁さんてだけで私自身が有名な訳じゃないから、、、
だから、取材も撮影も全て断ってきた
幼い桜汰君がした経験をまたさせるのも嫌だったし
彼が帰ってきた時に、笑顔と暖かいご飯、子供達の温もりを感じる家にしたかったの‥
そんな彼が、今日初めて、公の場で私に来てほしいと言った
それは
今日が彼にとって特別な日だから
『ご主人の初監督作品に一言コメントお願いします!!』
余りの恥ずかしさに、早足で通り過ぎようとした私に、次々と質問が飛び交う
ど‥‥どうしよう‥‥
「奥さんを初公開だもんね‥向こうも必死ね。」
千夏がボソッと呟いた
「千夏、私どうしたらいい!」
「とにかく、適当に答えて早く会場に入ればいいよ。」
適当って‥‥‥分かんないよ!!
「あ、、、あの‥‥とても嬉しいです//」
『ご主人との馴れ初めは!』
『シングルマザーだったんですよね!!』
『こっち向いて下さい!!』
『綺麗ですね−−−!!』
足を止めれば、フラッシュと質問の嵐で私の頭は完全にパニックになってしまった