マイLOVEヒーロー

本当は強くなんてないのに


ガチガチに鎧を着込んで、誰も寄せつけようとしなかった

そんな私の鎧を、丁寧に、優しく壊してくれた桜汰君‥‥



優しい貴方が、シングルマザーの私を見つけだしてくれたことを


私の方が感謝しなくちゃいけないんだよ‥‥‥




瑛二のお墓参りにだって、毎年時間を作ってくれて行ってくれて

手を合わせる貴方の姿にいつも泣きそうになるの



世間は私達を再婚だとか、血が繋がらないとか言うかもしれない


だけど私は‥‥‥


『初監督を務めた、木村桜汰さんの登場です!』



「桜‥‥‥汰‥‥‥」


壇上に独り、姿を現す貴方



その手には、マイクは持たれてなくて、瞳は真っ直ぐに私へと向けられていた


私が泣いているのが見えるのか


目をスッっ細めて両手を大きく拡げた







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