耳元で囁いて
「手紙...読んでくれた?」
上目遣いで聞いてくる佐渡。
....手紙?
あぁ、コイツかよ。
旭に渡すように言ったの。
マジ、俺あの時旭に告白されたと思って喜んだのに...。
...アホらしい。
旭のじゃ、なかったから俺...あの手紙どうしたかな。
あ、コンビニのゴミ箱に捨てたんだった。
だから、コイツの答えにはNOって答えなきゃいけない。
けど、そう答えたら後々面倒だからやっぱ辞めとこ。
嘘をついて、
「あぁ、読んだよ。」
そう言った。
「じゃ、じゃぁ分かると思うけどね...えっと、小さい声でごめんね?私...平川君の事好きなの、だから...付き合ってほしい。」
彼女は俺に強い眼差しを送る。
「はぁー。」
頭をかきながら俺は1つため息をついた。
「ムリ、ゴメンナサイ。」
全く、悪気のない口調で謝りながら彼女の気持ちを断った。
それを聞いた彼女は分かったよと、呟いて俺の前から走り去った。
俺は走り去る彼女の後ろ姿を見ながら心の中で言った。
あいにく...旭以外の女には興味ないから。
そして、横目でチラッと彼女を盗み見る。