耳元で囁いて
「何?佐渡さん。」
「あ、終わったんだ♪ありがとね~。」
彼女は、私が持っていたついさっき終わらせたばかりの仕事を自分の手柄のように持った。
「で、何?」
「あ、そうそう。...実はね~橘さんにしてほしいことがもう一つ、あるの。」
勘弁してくれ、と言いたくなったがすんでの処で止めた。
あえて私は返事をしなかったが彼女はそれをYESと受け取ったようで、私にはい、と白い封筒を渡してきた。
そこには、
“平川 俊君へ”と書かれていた。
平川...確か学年で1番カッコいいとかの噂だったっけ?
この手の事に関しては凄く疎い私でも平川の噂は知っていた。
けど、ここで1つ疑問がある。
佐渡さんは、これを私に渡してどうする?
本人に渡せばいいのに...。
私が、どう答えたらいいか迷っていたら佐渡さんが言った。
「ごめんけど...これ、平川君に渡してくれない?」
「え?」
「自分で渡そうって思っても、いざって時に恥ずかしくなっちゃって...。」
彼女が顔を赤らめる。
これが、恋する乙女...か。
流石に私も断ることは出来なかった。
白い封筒を私は彼女から受け取った。