耳元で囁いて
南に抱きつきながら平川君を見た。
すると、平川君は口パクで私に
“それでいいの?”
と言った。
下唇を噛んだ。
抜け出せたなら、とか考えない。
私が決めたから。
南は...離さない。
心の中で、平川君にごめんねと謝った。
それが、分かったのか平川君は私達の前から去った。
ハハッ。
私はバカだなぁ。
私は、自分を自嘲するように笑った。
悲しくなるよ...バカすぎて。
私達は、ずっと抱き合っていた。