耳元で囁いて
「そろそろ、戻ろう?」
「うん。」
私は、上手く笑えてるかな。
南を...心配させてない?
いつから、南に気を使うようになったんだろう。
私達は教室に戻った後は、普通に過ごした。
「...旭、大丈夫?」
放課後になって、藍仔と二人きりの教室で日直の仕事をしていた。
「え?何が?」
急に聞かれて困った。
「最近、元気ないから。」
心配した顔で、私の顔を覗きこむ藍仔。
「大丈夫だよ。」
心配させない。
心配させたくない。
だから嘘をつく。
平気だよと言うように、にっこりと笑う。
「....そっ、か。」
一瞬、藍仔は悲しそうな顔を見せた。
「....藍仔、後は私がしとくから。帰っていいよ。」
「えっ!!いいよ、私も一緒に...。」
「いいから。」
「....ッ、分かった。」
藍仔は何か言いたげだったが、あえて聞かなかった。