耳元で囁いて




藍仔はまたねと言って帰った。
教室の中は私1人。



とても静かで広く感じた。


「あ、また会ったね...橘さん。」



後ろを振り返ると、相変わらず爽やかに笑う山中君がいた。


「やま...なか君。」


「あぁ、覚えててくれたんだ。ありがとうね。」




山中君は、うっすらと目を細めて私を見つめる。


目、悪いのかな...山中君。


「元気、なさそうだね。大丈夫?」


だんだんこっちに近づいてくる山中君。


そして、私の隣に来た。
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