耳元で囁いて
そうこうしているうちに、あっという間に放課後になった。
最初は帰ろうかと思ったが、それは何か後で気分が悪くなりそうだからやめた。
私は教室に1人、静かに待った。
外から聞こえる雨の音。嫌でも耳にはいってくる。
聞きたくない。
見たくない。
だって...今のこの状況は、あの日と一緒だから。
早く、帰りたい。
「ごめん、待った?」
振り向くと、扉のところに平川君がいた。
「来る途中にさ、先生に捕まっちゃって。」
「ふ~ん...大変だったね。それで?」
私がさっさと終わらしたくて言うと、平川君は頭を掻きながら困った顔をした。
「私は、早く帰りたいの。」
「分かったって、言うから。」
平川君はそう言うと私の前の席に座って私を見つめた。