耳元で囁いて
...南。
私ね、一つアナタに謝らなきゃいけないね。
私はアナタを愛してるって言っていた。
最初は確かに愛していた。
だけどね?
途中で彼に出会って、あの瞳に一瞬にして奪われたの。
けど、その時は気づかなかった。
頭にはチラつくぐらいで...好きという気持ちまでにはいかなかった。
それでも、もうこの時から好きと嫌いだったアナタに対しての気持ちは。
ごめんね、南。
今さらだけど...言っておきたいから。
それとね、感謝もしてる。
南に出会って、好きって気持ちが分かったから。
ありがとうね。
そして、
ごめんね。
許してとか言わない。
ただ、私はもう進むよ...前に。
さようなら、南。
「俊、帰ろうか。」
「ああ。」
私たちは、手をつなぎ暗くなった外の夜道を歩く。
はぐれてしまわぬように2人で手を繋ながら、一緒に歩こう?
2人でなら、大丈夫だから。
ゆっくりと、愛してゆこう。
ーfin-