耳元で囁いて





...南。
私ね、一つアナタに謝らなきゃいけないね。
私はアナタを愛してるって言っていた。
最初は確かに愛していた。


だけどね?
途中で彼に出会って、あの瞳に一瞬にして奪われたの。


けど、その時は気づかなかった。
頭にはチラつくぐらいで...好きという気持ちまでにはいかなかった。



それでも、もうこの時から好きと嫌いだったアナタに対しての気持ちは。


ごめんね、南。
今さらだけど...言っておきたいから。


それとね、感謝もしてる。
南に出会って、好きって気持ちが分かったから。

ありがとうね。


そして、
ごめんね。



許してとか言わない。
ただ、私はもう進むよ...前に。




さようなら、南。





「俊、帰ろうか。」


「ああ。」


私たちは、手をつなぎ暗くなった外の夜道を歩く。



はぐれてしまわぬように2人で手を繋ながら、一緒に歩こう?



2人でなら、大丈夫だから。





ゆっくりと、愛してゆこう。





ーfin-



< 55 / 56 >

この作品をシェア

pagetop