耳元で囁いて




きっと彼女の方は知らない。
俺が彼女の....橘 旭(タチバナ アサヒ)の過去を知ってることは。


彼女は知らないだろう。


「俊、最近元気ないじゃん。」

俺の友達の拓海(タクミ)が心配そうに俺の顔を覗き込む。


「ちょっとな。」
俺は拓海に苦笑いを向ける。


「俊~、佐渡って女子がお前呼んでるぞー!!」

1人の男子が言った。


「?」


俺は、何だろうかと思いながら席を立つ。


その姿を、彼女が...旭が悲しそうな顔で見ていたなんて知らなかった。


廊下に出た俺は、すぐに俺を呼んだ人物を見つける。



ソイツもすぐに俺を見つける。


あぁ、確かコイツ...男遊び激しいんだっけ。


俺は、どこかで聞いたことある噂を頭の隅から引っ張りだしてきた。


「何?」
俺は、あえて面倒くさいオーラをだしながら佐渡とかいう女に言った。



すると彼女は、恥ずかしがりながら体をもじもじさせていた。


こーゆうのって、結構男にはぐっとくるんだろうけど...俺には演技ってのがバレバレ。




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