短編集『固茹玉子』
  チュイィン!

跳弾が耳元で火花を上げる。どうやらのんびりもしていられないようだ。

業務用クーラーの室外機を見つけたので、陰へ転がり込んで辺りを伺う。怪しいのはあの窓と、向かいのビルの屋上だ。

  バシュバシュッ チュゥィィィイン

しかし弾丸はいとも容易くそれを貫通し、俺の脇を掠めていく。殆んどがアルミの放熱板で作られた室外機は、弾除けにもなりはしないようだ。


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