短編集『固茹玉子』
思惑通り難なく侵入に成功した俺は、目指す奴の部屋へと駆け上がる。

廊下には虚を突かれた奴の手下共が右往左往している。

  パンッ パパン


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相棒と共に過ぎた日々が、頭の中をグルグルと回る。浮かんでは消えていくそれは、死への恐怖を和らげていく。

「にゃぁお」

「おお、相棒。しくじっちまった」

「にゃう。なぁぁお」

「そうか。先に逝って待ってるから」

ざらざらとしたベロの感触を子守唄に、俺は眠りに就く。

「お休み」


《end》


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