短編集『固茹玉子』
思えばあれが、今生最後のエクスタシーだったのだ。

もう一度くらい、抱いてやれば良かったな。

そう呟くとあいつの笑顔が脳裏によぎった。ただ俺の言うがままに身体を投げ出してきたあいつの気持ちが、今はとてもいとおしく思える。

でももう、生きてあいつに会う事も無いだろう。俺の野生が、そう告げている。


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