短編集『固茹玉子』
「ゴメンごめん。いや、あんまり可愛かったから……」

俺は『余りに小さかったから』との本心は胸の中にしまって、そう言った。すると彼女は赤い顔のまま、途端にモジモジし出した。

「そんな、可愛いだなんて……本当の事を」

古臭いやり取りが年齢を裏打ちしている。

ほのぼのとした気分になってしまった俺だが、こんな所でのんびりしている暇が無い事を思い出す。今日こそはアイツを、俺が殺人依頼を受けたターゲットを、この手で消し去らなければならないのだ。


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