短編集『固茹玉子』
「俺、これから行かなきゃいけない所が有るんだ。気遣ってくれて有り難う、それじゃ」

すると間髪入れずに彼女が、

「ひとを殺しに行くんですね?」

と言い放った。

「な、な……」

「なんで知ってるのかって? 貴方の方こそなんで覚えてないの?」

彼女は斜に構えて片方の口角だけを上げた。


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